復刻記事本文(2008年9月25日)
ああ、今日は一日ふぬけたまま過ごしてしまった。(^-^;
あっという間に終わりまで迎えてしまったような感覚だったホーム最終戦。
自分自身が思い出すためのように、また同じ場で見ることができなかった人のために、
写真とともにあの日を振り返りたい。
にしてつ臨時バスには「王監督14年間ありがとう!」の文字が。
ドーム周辺は渋滞で、途中でバスを降りて歩き、試合開始直後に着席。
内野はいつものデーゲームぐらいの入りだったが、外野席は既に満員。
本拠地最終戦の先発投手はホールトン。
ホークスの守備を見ている間、何かしら心の中を寂しさにかきむしられる。
普段観戦している心境とは明らかに違う気持ちでゲームを見ている。
ホークスの攻撃になると、それを忘れ去ろうといつにも増して声を出して応援する。
序盤はそんな繰り返しだった。
尋常でない思いに、なぜか身体も心なしか震えていたのだろうか。
王さんの最後の白いユニフォームだからと、ベンチの写真を撮ってもブレてばかり。
一番まともに写ってたのがこれ。ホークスベンチで戦況を見つめる王監督。
ホールトンは4回までオリックス打線を1安打に抑えるピッチング。
5回表、北川選手のソロホームランでオリックスが先制。
ホールトンは6回まで投げて2失点。
ベンチの中では王監督が信彦と話をしているように見える。
7回表にオリックスが2点追加。
ローズ選手に4点目のタイムリーを打たれたのはやっぱりニコースキー。
9回表は馬原が登板。
オリックスも代打にかつての鷹戦士・村松選手を送り出す。
ベンチで座って戦況を見つめる王監督。
9回ウラ、つじくんのヒットとおーむらHaaaaaaannn!!!の内野ゴロで一矢報いるも1-4。オリックスが勝利。
ホークスは6連敗(本拠地ラスト5連敗)で最下位の楽天とゲーム差無しに。
また、プレーオフ進出の可能性も完全に消滅し、1997年以来のBクラスが確定した。
2回ウラの満塁のチャンスを逸した後、当たり前のようにヒットと得点がアンバランスな数になったホークス。
小斉の2安打、森本の好守備などあったが、試合の中ではチーム状況に好転の兆しを見出せなかった。
ビジターで残り8試合ある。打って、抑えて、とにかく自分たちで光を探し求めるまで。
王監督が采配を振るう時間も少ない。一球一打を大切に。
そして、王監督、聞こえましたか?最後の高谷への声援。
これからも、我々は戦う選手を一生懸命後押しします。
しばし時間が経った後、セレモニー開始。
バックネット方向にコーチ・全選手が整列。
王監督のあいさつ。(あいさつの全文@公式サイト)
ビジョンで王さんの顔を見ると、確かに強い疲労を感じる。
大手術から2シーズン、それでも気力をみなぎらせて指揮を執ったことに感服する。
一言一言が胸に響いて、ずっと唇をかみながら王さんの言葉を聞いていた。
自分の周囲でも老若男女問わず目を真っ赤にしたり、すすり泣きしながら聞いていた人ばかりだった。
「(今季のここまでの結果は)すべて監督の責任でございます。強く、強く、責任を感じております。」
「95年以来14年間、ユニフォームを着させていただきました。大変、幸せでした。」
この言葉には涙をこらえきれなかった。
ファンに向けて贈られたメッセージにしては、その価値は身に余るほど。
あいさつの後、小久保、信彦、柴原、和巳、宗がそれぞれ王監督に花束を贈る。
そして、コーチ・選手一人一人と、つまり全員に握手。
途中ビジョンに写った、涙をこらえる大村はんの顔が忘れられない。
場内一周は、いつものように王監督自身が先頭に立って手を振り、ファンにあいさつをする。
胸にこみ上げるものを抑えながら、シャッターを切った一枚。
ちょうど自分が座っている方向を見ながら通り過ぎていく時、深々と頭を下げた。
「王さん、本当にありがとうございました!」
前夜に誓った、王さんへの礼を尽くした力ばかりの声。
これからビジターで王さんの姿を見る人、この日福岡ドームに来ることができなかった人、
そんな人たちの気持ちまで込めたつもりの声が、届いていたら嬉しい。
グラウンドの外周を歩いてマウンド付近まで戻る時間は、あっという間だった気がする。
もう少しでもいいから、この時間が長ければよかったのに。
マウンド付近で戻ってきたところで、選手たちの大きな輪ができていって、その中で王監督を胴上げ。
美しく、誇らしげだけど今日のはとっても寂しい、王監督の舞う姿。(公式サイトの記事)
(胴上げは動画で録っていたので写真はなし)
最後に、ベンチまで伸びる、出迎えたスタッフたちの列にも丁寧に握手と労をねぎらいながら、
王監督はベンチの中へ、白いユニフォームの姿を隠していった。
同時に、ホークスにとって大切な、このエンブレムも福岡ドームでは見納め。
最後まで「ファン=あなた」の二人称のように語り掛けて、
かつこれまでよりも強く、激しく歓喜を求め、それを「ファン=あなた」に約束しようとする王監督。
いくら言っても言い足りないけど、何度でも何度でも言いたい。
王さん、ありがとう。
ホークスファンとして幸せな14シーズンでした。
本当に、ありがとう。
記事を振り返って(2023年5月5日復刻)
試合は2008年9月24日(水)、福岡Yahoo!JAPANドーム(当時)で行われました。
復刻にあたり、アイキャッチの写真チョイスには悩みました。
当時のブログ向けサイズで縮小するとちょうどよいのですが、
今風のブログに合わせるとどれもピンボケが目立ってしまって…
なので、14シーズン見続けた、追いかけてきた「親父の偉大なる背中」にしました。
当時を振り返って
ホークスのホームゲーム最終戦(その後10月初旬まで遠征が続く)だったので、王さんの監督退任には関係なく事前に観戦チケットは取っていたのですが、まあ予想通りスタンドは満員でした。
9月に入ってわずか3勝、かつその時5連敗中ともがきにもがいていたホークスでしたが、光明が見えることなくこの日も敗戦。
シーズン終了のあいさつと王監督の言葉を聞くのがモチベーションだったとも言えましょう。
とはいえ、強いとか弱いとかに関わらず声援を送るのが本拠地のホークスファン。
様々な思いが試合後の拍手や声に現れてはいましたが、なんといっても惜別への思いは強かった。
別れを惜しむ気持ちと、王監督のユニフォーム姿を目に焼き付けようとする思いと。
厳しい勝負の世界の指揮官を長年務めながら、誰よりも野球を愛していた人。
そんな野球愛を大切にしてもらえたからこそ、観戦機会は減ったものの今でも野球好きでいられています。
あの時と変わらない感謝をもって、改めて王さんにお礼を。
2023年現在、王貞治氏は福岡ソフトバンクホークスの会長職を務めていらっしゃいます。
これまでもチームに最も近い位置で大好きな野球を見守ってくださいますように。
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